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管理人の日常だったり、萌えだったり。
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    理由

    というわけで。

    ↓はマ/ギにハマった結果の産物です。

    とりあえず、バルバット編後でアラアリ風味のアラジンとシン様の腹の探り合いです。
    初めて書きましたけど、アラジンの口調がよく掴めないまま書いたので、ところどころおかしいようなそうでないような。

    でもとりあえず、愛はつめました(笑
    お暇なときにでもどうぞ。



    そしてぱちぱち拍手、ありがとうございます!

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    君に伸ばせる手がもう少し大きければ、と思ったことがある。
    なんでもかんでも一人で背負い込んで、そのくせ、なにも出来ないと嘆く君。
    どうして?君はとても凄いのに。どうしてそんなに嘆くんだい?
    誰しもが導かれる道の途中で、その道の過程で誰もが強くなる。最初から強い存在なんて、いないんだよ。
     
    大丈夫。例え君が転びそうになったとしても、僕がその手を引いてみせる。
    そのために、僕は強くなりたいんだ。
     
     
     
    理由
     
     
     
    バルバット王国が、共和国へと変わったその日の夜。七つの海を支配し、シンドリア王国の王であるシンドバッドは、寝付けずに一人夜の散策へと出かけていた。いつも何かしら言ってくる政務官は、このことを承知の上だ。王が一人で出歩くなどと、といつも小言を言う彼だが、それでも黙って一人で行かせてくれた。相変わらずの察しの良さには頭の下がる思いだ。
     
    シンドバッドは、ふぅ、と一つ息を吐く。少し冷え込んできたのか、冷たい風が頬を撫でた。体に染み入るその風を、彼は黙って瞼を閉じて受け入れた。
     
    ……この国、いや、共和国に来て、得たものは大きい。
     
    最初は、貿易をしなくなった理由を問い詰めれば、すぐに解決する問題だと思っていた。ちょっとした小旅行のつもりで出てきたが、その小旅行にしてはお釣が来てしまうほどの成果を上げた。
     
    まずは、マスルールと同じファリナスの少女、モルジアナ。彼女の力は使えば即戦力になる。女性、しかも子どもを戦いに参加させるのは少し酷なようだが、彼女は戦うことで己の居場所を見出している節がある。そして、それにはもう一人の存在が関わっているように見える。
    それが、この国の元第三王子であり、元盗賊団頭領のアリババ・サルージャ。彼はその血筋もさながら、頭も切れるようだし、なにより迷宮攻略者だ。断片的にしか聞いてはいないが、モルジアナの恩人らしいので、彼を抑えれば彼女も抑えたも同然だ。
    そして、最後に。
    四人目の「マギ」の少年、アラジン。
    あのジュダル相手に引けを取らない魔法を使い、なおかつ、「ソロモンの知恵」を使いこなす少年。彼の存在は大きい。シンドリア王国の「マギ」となれば、かなりの力になるだろう。
     
    シンドバッドはゆっくりと瞼を開いた。
     
    目の前にはいつの間にか、魔法のターバンに乗った、一人の少年が居る。彼はシンドバッドを見て、にっこりといつものように無邪気に笑った。そして彼も、いつものように、やぁ、と笑い返した。
     
    「ねぇ、シンドバッドおじさん。少しお話しようよ」
    「……―――俺でよければ、喜んで」
    「ありがとう」
     
    アラジンは、ゆっくりとシンドバッドの隣に近づくと、ターバンから飛び降りた。己の背丈の半分にも満たない幼い少年のつむじを見下ろして、さて、と思う。
    アラジンは、どこか笑みをたたえた口元で、町を見下ろしていた。ほんの少しの光が灯る、町を。
     
    「この光は、アリババ君が守った光だ。そして、アリババ君が灯した火でもある」
    「あぁ、そうだな」
     
    どこか自慢げに、彼はそう言った。どうだ、すごいだろうとばかりに。そしてキラキラと目を輝かせるその姿は、どう見ても年相応の少年に見えてしまうから不思議だ。
     
    「俺も、まだまだ若いってことかな。アリババ君のこと、自信のない子だと思ってたよ。それゆえに、臆する子だと。でも、実際は違っていたよ。彼は立派な、英雄だ」
    「………。ふふ、おじさん。僕からしたらおじさんは若くはないよ。それに、おじさんの言うとおり、アリババ君は恐怖ゆえに臆病になる人だ」
    「?」
     
    意外な言葉に、シンドバッドは驚いた。
    アリババを罵ったジュダルに対して啖呵を切った人物とは、思えない。目をぱちくりさせるシンドバッドに、アラジンは可笑しそうに笑っていた。
     
    「でもそれは、とても大切なことだよ。そして、アリババ君がそんな風に自信がなくなるのは、いつだって自分のことだけ。他人が関わると、アリババ君はとても強くなる。だからアリババ君は、とてもとても、すごい人なんだ」
    「……―――」
     
    無邪気に、そして、淡々と言ってのけたアラジンに、人知れず息を呑む。
    他人のために、強くなる。それはとても難しいことだ。結局、どんな理屈を並べたところで誰もが自分が大事だ。自分を捨ててまで他人を思いやるためには、力がなくてはならない。そう、自分のように。
    だけど彼は、アリババは、それをやってのけるというのか。まだまだ未熟な、あの力で。
     
    「アリババ君は、王になるよ。僕はその為にここにやって来たし、その為だったらどんな努力もする。どんなものだって利用してみせる」
    「ほぅ?この俺も、か?」
    「……―――もちろん」
     
    にっこりと笑うアラジンは、夜の闇に薄暗く照らされてどこか不気味に映った。しかしシンドバッドも、そんなアラジンに笑い返した。
     
    「そこまで、君は彼に惚れこんでいるのか」
    「うん。友達だもの」
    「……ともだち、ね。でももし、その友達のアリババ君が、君の指し示す道で苦しんだり、悲しんだりすることになるとしたら、どうする?君はそれでも、彼に道を指すのか?」
    「僕の選んだ王様は、その苦しみも悲しみも乗り越えられる人だよ。僕はただ、その手助けをするだけさ」
    「そうか。………だけどね、アラジン君。アリババ君を王にしたいのなら、今のままじゃダメだよ。彼には力が必要だ。そして………、裏を知る強さもね。今のままじゃ、少しばかり、眩しすぎる」
     
    王、とは何か。
    国、とは何か。
     
    シンドバッドは思う。それは人だと。
    人が国を作り、王を作る。では、人とは何か。それは、そう、月と太陽のようなものだと、彼は思うのだ。
    つまり、表もあれば、裏もある。表裏一体。それが人だ。
    つまり、それを知ることが、王となる。
     
    「王になるには、それだけの何かを犠牲にしなければならない。何かを選んで、何かを捨てる勇気を持たなくては、彼はきっといつか折れてしまう。……あのような戦い方では、特にね」
    「……まるで、自分がそうだったみたいな言い方するんだねぇ。シンドバッドおじさん」
    「はは、君はすごいな。まぁ、想像にお任せするよ」
     
    軽い笑みを飛ばした彼は、ほんの少し前の自分を思い出す。
    力があり、その力ゆえに手に入れたものと、捨てたものを。
    だが、それを後悔するつもりはないし、これからだって同じだけのことをしていくだろう、自分は。それこそが王である己だと、思っているのだから。
     
    「でもね、きっとアリババ君ならこう言うよ。『誰かの為の犠牲はいらない』ってね」
    「それは、綺麗ごとだね。綺麗で、純粋だ」
    「そう。確かに綺麗ごとかもしれない。だけど、最初から何もしないで投げ出すことよりも、よっぽどマシだよ。僕はね、そんなアリババ君だから、手を伸ばすんだ。純粋で、綺麗な彼なら、王様になれる」
    「………アラジン君」
    「ねぇ、シンドバッドおじさん。あなたは疑問に思っているね。どうして僕が、アリババ君を選んだのか。いや、今もなお選んでいるのか」
     
    見透かすようなそれに、シンドバッドは苦笑で答えた。
    そう、確かに疑問だった。
    王の選定者、「マギ」。それが彼、アラジンだ。しかし彼は、己が何者なのかすら分からない状態だった。そのときにアリババと出会い、迷宮攻略をした。その意味が、まさかジンの使い手になることだとは思わずに。
     
    だが、今は違う。アラジンは自分が何者なのかを分かっている。そしてその上で、アリババを王にならせようとしている。
    それが、不思議でならないのだ。なぜ、アリババなのか、と。
    しかしその答えを、アラジンは笑って答えた。
     
    「答えはね、簡単なんだよ。アリババ君がアリババ君である限り、僕がアリババ君以外を選ぶなんてありえないんだよ。まぁ、王様の器としてはシンドバッドおじさんの方が数倍上だけどね」
    「褒められた気がしないな」
    「まぁ、褒めてないからね」
     
    意外と辛らつだな、という言葉は呑み込んだ。やはり喰えない少年だ、ということも。
     
    「まぁ、いいさ。今日は有意義な話が出来てよかった。夜の散歩に出た甲斐があったな」
    「そうかい?それは良かった」
    「あぁ。じゃあ、おやすみ、アラジン君」
    「うん。おやすみなさい、シンドバッドおじさん」
     
    ぶんぶんと手を振る少年を残して、シンドバッドは歩き出した。一歩、二歩、と歩き出して、少年の気配が背後から消えたと分かると、小さく声を漏らして笑った。
     
    「この俺を利用する、ね。ずいぶんと、やんちゃな「マギ」様だ」
     
    どっかの誰かさんのように、とその言葉は飲み込んで、シンドバッドは鼻歌を歌いながら部屋へと戻った。
     
     
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