コワシテ
からくり卍ばーすと
ビリビリと肌が震える。重く肩に圧し掛かるような、重圧。
隠しもしない、殺気。いや、殺意というべきか。
まるで弾丸のようなそれに、体が震えた。体中の血が騒いで、仕方ない。
コワシテ
コワシタイ
呪詛のように血が騒ぐ。破壊をスルことでしか得られない、<RUBY><RB>快楽<RT>ごちそう</RUBY>。それが目の前に無防備に置かれていて、俺はまるで獣のように舌なめずりをする。
自分の呼吸をする音が煩い。ひどく高揚して、視界が赤く染まるのが分かる。
壊して
壊したい
タリナイ
タリテナイ
どこまでいっても満たされない、破壊衝動。
足りない
足りてない
それが満たされるまで、俺は止まらない。
所詮は、組織によって作られて、そして、組織によって捨てられた殺戮兵器。
だったら、全部全部コワシテ……―――。
「………っふ」
俺は空を見上げつつ、体の熱を吐くように喘いだ。
カチリ、と愛刀が鳴く。それを見下ろして、俺は小さく笑った。
「そうか……お前も……」
足りない、よな?
にぃ、と口元を吊り上げて、その柄を握り締める。同時に背後からの殺意が、膨れ上がる。
さぁ、かかってこい。俺と一緒に、破壊を楽しもうじゃないか。
そうして、ぐちゃぐちゃに刻んでやる。
「………―――脆い」
ヒトは脆い。
脆いから、壊すのが楽しい。
脆いから、壊すのは一瞬。
俺はその一瞬のために、生きている。
その破壊こそが俺の……生きている意味。
コワシテ
コワシテ
…………―――ダレヲ?
そっと、誰かが耳元で、囁いた気がした。
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