というわけで。
絶園4話で盛大にいろいろなものが吹き出したので、小噺を一つ。↓には感想もあります。
とにかく言いたいのは、絶園増えろ!
そしてコミックス買わないとな。
・絶園のテンペスト 4話
絶園4話見た!
なんていうの?不破兄と吉野くんの、お互い腐れ縁だと思ってる関係だいすきなんですけど。あの淡々としててでもお互い信頼してるっていうか、お互いのこと知ってます的な空気だいすき。
(絶園増えろ)
今回のってアニメオリジナルだと思うんだけどとりあえず言えることは不破兄が狛犬に乗ってるシーンが異様に萌えたってことかな。あれはいかんわ。いろいろなんか突破しそうだわ。リミットブレイクしそうだわ。黙示録の炎で焼き付くされそうだわ。
そして何気に家庭的な吉野くん。え、あの子料理できたの?不破兄ができるイメージだったけど、アイツお坊ちゃんだったなそういえば。
不破兄が風呂入ってる間に料理するとかどんだけスキル高いの。しかしその料理に文句つける不破兄。おまえら夫婦か。でも味噌汁にセロリはないな確かに。意外と不破兄は常識人なとこあるからな。その点は吉野くんの方が色々危ないとこあるもんなぁ。
そして不破兄のおいろけシーン。意外と細身なんだね、あの子。まぁ、高校生だしね。あの細い感じの体つきはけっこう好きです。つーかむしろ大好きですけどなにか。
そしてショタ!ショタは正義。SS!
でもその割には二人がショタってなくて、www、ってなった。
たぶん、吉野くんは関わり合いになりたくないって思ってても、なんやかんやと不破兄に巻き込まれた感あるよね。つーか、無理やり不破兄が吉野くん引っ張ってる感あるよね。
↑だけだったら、不破兄→吉野くんっていう美味しい構図ができあがるけど、残念ながら絶園の根本が、不破兄⇒愛花ちゃん→←吉野くん、だからなぁ。
でも↑の構図前提で、不破兄→吉野くんっていうのはすごくすき。
不破兄は愛花ちゃんとは別に吉野くんに依存してるといいよ。つーか、不破兄は誰かに依存しないと生きていけない子だよ。
でも吉野くんは逆に、他人とうまく距離を置く子だと思うから、そこらあたりでモダモダするといいよ。
「吉野には俺がいればいい」的なこといつか言ってくんねーかな。無理か。脳内でしゃべらせるしかないか。
そして一番気になったのは。
なぜお前ら布団を並べて寝る。
ここだね。ここ重要だね。大事だね。むしろ一番の萌えだよ。
あれだよ。「なぁ、真広。……寝てるし」のあと、お姉さん、上から伸し掛かってくる不破兄のシーンをどれだけ待ち望んだことか。つーか、絶対あれ寝たふりだよね。絶対不破兄寝てないよね。お姉さんちゃんと分かってるよ。
そうか、あれは行間読めってことか。寝てるし→ジュース買いの間には色々あったんたぜ的な妄想しろってことだよね。
(っていうか、吉野くんってうつ伏せで寝るんだね。萌える)

不合理、とは。
道理・理屈に合っていないこと、だ。筋の通らないこと、とも言う。
親友はよく、この言葉を口にする。
世の中は、不合理だ、と。
だとすれば。
俺のこの感情も、きっと、不合理なのだ。
符合≠理
「なぁ、真広。お前なら、どうした?」
「何をだ?」
「あの子どもたちだよ。もし、俺がいなかったら、お前は、どうしてた?」
「………」
セロリの入った味噌汁に文句を付けながらも、食べないという選択肢を取らなかった親友は、俺の問いに、ソーセージに伸ばしていた箸を止めた。だがすぐに、ふん、と一つ鼻を鳴らして、目当てのソーセージを掴むと、口に放りこんだ。
「別に。どうもしなかった」
「……あぁ、そう」
さらりと、何でもないことのように寄越された言葉。俺はそれを聞いて、少し、安堵した。何故なら俺が考えていた答えと、全く同じだったからだ。親友なら、こう言うだろう、と。
それからの会話もなく、俺たちは淡々と目の前の食事に箸を伸ばす。ちらりと見やった親友は、今度は目玉焼きに箸を伸ばしていた。
親友は、仕草はガサツだが、綺麗な食べ方をする。家柄、そういうのは鍛えられていたのだろう。箸の持ち方、運び方。食べる順番。どれを取っても、普通の一般家庭では出せない空気を、親友は醸し出していた。
俺は親友の、その独特の空気を感じながら、同じようにソーセージに箸を伸ばす。
口に含んだソーセージは、やけに、熱く感じた。
※
食べた気が全くしない食事が終わり、俺は風呂に入ることにした。見やった時計は、午後十時を過ぎていて、それでもこの家の住人は帰ってこなかった。いや、もう二度と、帰ってこないのだろう。分かってはいたことだが、こういうとき改めて思い知る。この世界の間接は、外れてしまったのだ、と。
脱衣所に向かうと、脱ぎ捨てられた親友の服があった。丁寧に、とはいかないが、申し訳程度には畳まれた、無造作に放り出された残骸。俺はその中の一つ、赤色のシャツに手を伸ばす。
鮮やかな金髪をした親友には、こういった派手な服が似合った。どちらかと言うと落ち着いた色合いが似合う自分とは正反対だ。
いや、服だけじゃない。性格も、思考も、どちらかといえば親友とは正反対だ。食事の支度中に葉風さんに話したように、俺は、元々は親友と関わり合いにはなりたくなかった。それが何の因果か。真広係などに任命され、こんなところまで来てしまった。
手に取ったシャツを、元に戻す。やはり、丁寧に、とはいかないが、申し訳程度に畳んで。
「………―――どうもしなかった、か」
呟いて、苦笑。ひどく、親友らしい言葉だと思った。
もし。
もし、あの時投げた魔具が、彼らに届いていたら。きっと彼らは助かっただろう。
だけど、この間接が外れてしまった世界で、子ども二人だけが生き残ったとして、そこにどんな価値があるだろう。
彼らが目にするのは、全てのイキモノが金属化し、昨日を止めてしまった世界だ。そんな中に放り出されて、彼らは生きていけるのだろうか。
………―――答えは、分からない。
ただ、あの時の自分は、そこまで考えていなかった。目の前にある、小さな二つの命を、ただ助けたいと思っただけだった。そこに、理屈なんてものは存在しなかった。
だが、親友は、違うのだろう。
親友はきっと、先が見えていた。助けたところで、世界の不合理は治らない。だったら、助けないほうがいいと、思ったのだろう。
だから、「どうにもしなかった」。
俺は一度頭を振った。考えても、仕方のないことだ。服に手を掛け、ボタンを外す。風呂に入って、さっぱりしたかった。
ばさ、とシャツを落とす。どうせ、もう一度着なければいけないのだ。どう脱ごうと、関係ない。そしてそのまま、ベルトへと手を伸ばして。
同時。
バン、と乱暴な音と共に、脱衣室の扉が開け放たれた。ぎょっとして振り返ると、そこにいたのは、金髪の親友で。
親友は、ひどく、不機嫌そうな顔をしていた。
「まひ、」
「おい、吉野。お前、余計なこと考えてんじゃねーよな?」
真っ直ぐにこちらを睨む赤い瞳。嘘は許さないとばかりに見据えてくるその色に、正直、どきり、とする。燃えるようなその色は、俺の内情さえも、燃やしてしまいそうだ。だが、表情には出さない。親友の前で表情を繕うことには、残念ながら慣れていた。
「余計なことってなんだよ。っていうか俺、今から風呂に入るんだけど」
「余計なことは余計なことだ。お前、さっき俺に聞いたよな? あのガキを俺ならどうしたかって」
「あぁ、聞いた。お前は何もしないって、さっき答えたじゃないか。ったく、いいから風呂に入らせろよ」
「そうだ、答えた。俺はなにもしねぇ。しても無駄だからだ。………だがな、吉野。それをお前が、何故気にするんだ」
「気に、する………?」
どういう意味か、俺は図りかねた。親友が何を言いたいのか、分からなかったのだ。
首を傾げる俺に、親友は苛立たしげに舌打ちすると、ずんずんとこちらに向かってきた。何だ何だと思っているうちに、親友が、俺を挟み込むように両手を付いた。バン、と手のひらを壁に叩きつける音が、両耳から響く。
眼前には親友、背面には壁。俺はどうしていいか分からず、じっと親友の首元を見つめていた。
「分からねぇのか? んな顔しておいて」
「顔って言われても、自分の顔なんて、分かるわけないだろ」
「………。泣きそうな顔、してる」
ハ、と顔を上げれば、赤い瞳に自分が映っているのが見えた。そして自分の目にも、親友の顔が映っている。
俺は、そっとその白い頬に手を伸ばした。親友は、ただ黙って、俺の手を受け入れた。
触れた頬は、温かい。冷たい金属ではないその感触に、俺はわけもなく、笑いたくなった。
覗き込んだ赤は、ゆらりゆらりと揺れている。それは悲しみではなく、怒りで。その燃える焔の赤さが、どうしてか、眩しくて仕方ない。俺は、目を細める。
「俺が泣きそうな顔なら、お前は怒った顔だな」
「当たり前だろ。吉野が、変なこと考えてるからだ」
「変なことって、なんだよ」
「…………吉野は、自分が偽善者だって思ってるだろ。そしてそれを、引け目に感じてる」
とっさに、言葉が、出てこなかった。
鋭く突き刺さった言葉が、俺の喉を焼く。親友に伸ばした指先が、冷たく、震えた。
真っ直ぐに、赤がこちらを見つめる。俺は知っている。その色の正体を。
急激に、体が冷えていく。燃えるような赤に焼かれて、冷たく凍えてしまいそうだ。
「吉野、お前は確かに偽善者だ。あのガキたちだって、助けたってどうにもならなかった。お前だって本当は、分かってたんだろ? だけど、どうもしないと言った俺を、責めずにはいられない自分が、嫌なんだろ。………本当はそんなこと、思ってもないくせに」
あぁ、どうしよう。何か、何か言わなければ。そうしないと、言われてしまう。
「だけどな」
早く。早く。親友が、言ってしまう前に。決定的な言葉を、言ってしまう前に、早く。
「それはお前が決めることじゃねぇ。………他人が決めることだ」
はやく、
「吉野、俺は………―――、そんな、偽善者なお前が、好きだ」
………――――。
あぁ、言って、しまった。
決定的な、不合理そのものの言葉を。
「だから、そのことをお前が気にする必要は、全くねえんだよ」
親友は、言う。
世の中は、不合理だ、と。
全くもって、その通りだ。俺も同じことを思う。世の中は、不合理だ。
俺はあの子達を、ほんとうに助けたかったのだろうか。分からない。その前に会った老夫婦のことも、そうだ。俺は本当に、助けたかったのだろうか。
本当に助けたいと思うのなら、俺の取る行動はただ一つ。魔具を渡すこと、だ。だけど俺は、老夫婦に言葉を伝えるだけで終わってしまった。子どもたちに向かって、魔具を投げただけだった。
……―――届かないと、分かっていて。
親友は、それが分かっていたのだろう。だから、言う。お前は偽善者だと。そうやって、他人に対してすっぱりと言ってのける親友が、俺は少し、羨ましい。
「………、それは俺を、慰めてるのか?」
「はぁ? なんで俺がお前を慰めなきゃならないんだよ。俺はただ、辛気臭い顔して横にいられるのが、気に食わねぇだけだ」
「……お前らしいな」
笑った。上手く笑えている、自信があった。
案の定、親友は、少しホッとした顔をしていた。そのまま、少し強引に引き寄せられて、抱きしめられる。ふわり、と石鹸の匂いがして、頬にかかる髪は濡れていた。
「なんだよ、いきなり」
「いきなりじゃねーよ。俺、言っただろ。お前が好きだって」
「あー、そうだったな」
「反応薄いな。俺も、とか、気の利いたこと言ってくんねーのかよ」
「はいはい、俺も俺も」
ぽんぽん、と背中を叩くと、子どものように頬を膨らませ、拗ねた顔をする親友がいた。俺は小さく笑いながら、そっと、親友の肩に額を預けた。
世の中は、不合理だ。
自分の抱えている感情と、相手の持つ感情が、必ずしも一致するとは限らない。
なぁ、親友。
お前は俺を、好きだと言うが。
それならば、俺が抱えるこの想いは、一体なんだというのだろう。
A lot of friendship is a pretense, and the love is only much stupidity
「………―――不合理だな」
まったくもって、不合理だ。
俺は笑いながら、親友の背中に、腕を回した。
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