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管理人の日常だったり、萌えだったり。
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    新入りの考察


    というわけで。
    せっかくOPを観ているので、突発的にOP小話。
    ブルックさん視点で、ルゾロ風味。と言いつつ、ゾロが出てきませんが(笑
    そしてナミさんも友情出演中。

    とにかくOP好きだ!
    船長さんと剣士さん好きだ!

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    おれは、海賊王になる男だ!
     
     
    誇らしげに、自らをそう語る男は、とても真っ直ぐな目をしていた。多分、その実直でひたむきな強い瞳に、船員たちはおろか、周囲の人間でさえ捕らわれている。
    この船の船員の一人として迎え入れられる前から、それは解っていて。
    でも、改めて仲間に入れてもらって、それをつくづく実感した。
     
     
    新入りの考察
     
     
    「なぁなぁ、ナミィ。いいだろ、ちょっとくらい」
    「ダメよ。そう言って、この前も木になってたのを丸々食べちゃったじゃない」
    「だぁってぇ」
    「ダメなものは、ダーメ」
    「ちぇ、ナミのケチ」
    「何か言ったかしら?」
    「あ、いえ、ナンデモアリマセン」
     
    麦わらをかぶった髑髏を掲げた海賊船の、みかん畑周辺。偶然通りかかった私は、この船の船長であるルフィさんと、航海士のナミさんが二人で何やら話しているのを聞いた。
    会話だけを聞けば、誰がこの二人を船長と航海士という立場にあるのだと信じるだろうか。
    まるで年の離れた姉と弟の会話そのままだ。私は小さく、苦笑を洩らす。
    怒ると怖いナミさんの黒い笑顔に当てられて、どうやらルフィさんはみかんを諦めたらしい。ぶつくさと拗ねた顔をしつつも、みかん畑に背を向けていた。
    すると、そんな船長さんに小さくため息を付いたナミさんが、みかんの木から一つ、ナミさんと同じ綺麗なオレンジ色の実を千切ると、ルフィさんに向かって投げた。
     
    「ほら、ルフィ」
    「ん?あ……!」
     
    ぱし、と振り返りざまにみかんを受け取ったルフィさんは、目を輝かせた。ナミさんは、しょうがないわね、という顔をしつつ。
     
    「一つだけならいいわよ。ちゃんと、味わって食べるのよ?いい?」
    「おう!ありがとな、ナミ!」
     
    やった!と無邪気に笑いながら、ルフィさんは船尾へと走っていく。その背中を見送って、ナミさんの様子を伺った。ナミさんは肩を竦めてルフィさんを見送っているものの、その瞳はどこまでも優しい。
     
    この船の船員の中で、一番の新入りである私は、ある程度皆さんがどのような経緯でこの船に乗ることになったのかを聞いていた。
    一人、一人、たくさん辛いことや悲しいことを乗り越えて、ある者は共闘し、ある者はルフィさんに助けられ、この船に乗っているのだということ。
    この優秀な航海士である彼女も、昔は海賊を憎んでいたという。そんな彼女が海賊になろうと思ったきっかけは、やはり船長さんの強い勧誘があったからだという。
     
    彼女だけじゃない。他の船員も、多少の強引さをもって船長から誘われて海へと乗り出した者が多いらしい。
    それは、とてもこの船らしい、温かな思い出で。
     
    「何?ブルック。そんなに見つめちゃって」
    「ん?あ、いえ……。ルフィさんは、愛されているなぁと思いまして」
     
    しみじみとナミさんを見つめていると、その視線に気づいたのか、少し気まずそうにナミさんがそう言った。ので、私は正直な感想を述べてみる。するとますます、ナミさんは困ったような、照れたような、そんな顔をして。
     
    「あのお子様船長には、毎回毎回困ったものだわ」
    「ですが、その船長さんを、皆さんは好きでいらっしゃる」
    「……―――、そうね」
     
    私は素直に頷いた彼女に、おや?と思った。いつもの彼女なら、強気に言い返すと思ったのだけれど。
    私が少し戸惑った様子を見せると、彼女は小さく笑って。
     
    「この船は、ルフィがいるから成り立ってるの。ルフィがいなきゃ、きっとこの船には誰も乗らなかった。……私も、そうだから」
    「ナミさん……」
    「皆、ルフィが好きで、だからこそ付いていく。それだけの力がアイツにはあるの。ルフィはきっと、海賊王になるわ」
     
    キラキラと目を輝かせて、そう語る彼女。その瞳は船長さんと同じ、強い意思を宿した瞳で。
    似てるな、と思う。いや、彼女だけでなく船員たち全員、どことなく船長さんに似ているのだ。こういうのを、運命、と呼ぶのだろうか。
    私はナミさんの笑顔を見て、そう思った。
     
    そこでふと、似ていると言えば彼もそうだな、と思う。
    私と同じ、剣を得意とする男。だが何かと兼用ではなく、彼はれっきとしたこの船の戦闘要員であり、船長に継ぐ二番手の実力の持ち主。その首に掛けられた懸賞額も船長の次に高く、十二億という、凄腕の剣士。
    戦闘になるとまるで獣のような彼は、海賊狩りと呼ばれる通り、この船に乗る前は海賊狩りをやっていたそうで。
    海賊狩りが海賊になるというその経緯を、私はかいつまんで聞いていた。そして、彼が船長さんにとって最初の仲間であるということも。
     
    彼は普段は無口で、甲板で昼寝をしているかトレーニングしているかのどちらかだ。戦闘にならなければ、彼の出番はないからだ。
    だが、そんな彼を誰も咎めたりはしない。それよりも、彼の激しいトレーニングに船医であるチョッパーさんが顔を真っ青にして怒ることはあるが。
    そしてルフィさんも、そんな剣士さんを笑って眺めているだけ。その様子を見て、私は一度だけルフィさんに聞いたことがある。
    『どうして、彼はあそこまでトレーニングをするのですか?』と。
    するとルフィさんは自分のことのように誇らしげに胸を張って。
     
    「ゾロの夢は、世界一の大剣豪になることだからな!」
     
    にしし、と彼は無邪気に笑う。彼自身の夢である、海賊王になるのだという夢を語ったのと、同じ瞳で。
     
    ルフィさんがゾロさんに向ける視線は、他の船員たちに向けるものとは、少し違っていて。
    深く、信頼している。そんな、顔をしていた。ルフィさんは他の仲間ももちろん信じてはいるけれど、いざという時に一番に名を呼ぶのは、剣士の名だ。そして、それに当然のことのように応えてみせる剣士がいて。
    船長の傍らに佇む剣士は、片腕、と呼ぶに相応しいのだろう。他の船員たちも、どことなくそんな風に彼と接していることすらある。
    両極端のようなルフィさんとゾロさん。でも、根本的な部分では、似ている。だからこそ、お互いを信頼している。そんな、深い雰囲気を醸し出していて。
     
    「ヨホホ。そうですね、彼はきっと、海賊王になるでしょうね」
     
    そして、あの剣士も。その夢を叶えるだろう。
     
     
     
    『……ルフィは、海賊王になる男だ!』
     
     
     
    かつて、敵を眼前に、そう言い切った剣士。彼の身代わりに、とその身を差し出した彼を思って、私は密かに決意した。
    微力ながら、私は同じ剣士として、彼の手助けをしよう。船長を守る彼の、手助けを。
     
    「そうね。きっと……」
     
    そして、この素敵な船の皆を、守れるように。
    まずは、彼と同じように、トレーニングからはじめてみようか。
     
    あ、でも。
     
    トレーニングをしたところで、付く筋肉なんて、ないんですけどね。
     
     
     
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